mixture-art@Q
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成功体験に頼る、その末路

珍しく時節ネタを。

サッカーワールドカップ2010 南アフリカ大会
決勝トーナメント1回戦
日本 0 – 0 パラグアイ
(PK: 3 – 5)

には失望させられた。

結果が出なかった事ではなく「ベストを尽くせたのか?」という点について。
この大会ではカメルーン戦しかりデンマーク戦しかり
日本代表は内容より結果を重視してやってきた。その心意気潔し。

つまらないフットボールだったが、全員で守り、良く走り、
がむしゃらにやっている、というのが画面から見て取れた。
大抵の競技スポーツでは1人の勝者の下に無数の敗者がいるわけで
その勝者になることは当然至難の業であり、みなどこかに「満足」のラインを引かなければならない。
プロとしては頂点を目指すのが当たり前なのだろうが、
「頂点以外は糞も同然」のスタンスで競技スポーツをやりきれるほどメンタルの強い人は稀だろう。
多分早死にするタイプ。

つまり基本的には「悔いなく全力を出し切る」ことが大抵のプレイヤーの目標になるわけで
最善のコンディションを整え、最善の戦略を用意し、それらをピッチ上で表現できれば
一旦はそれで良しとするべきなのだ。

プレイヤーレベルでもそうなのだから見ている我々なんてホントにその通りだ。
「日本が世界の頂点に立つ瞬間が見たい」
とか言うかもしれないけど、
「日本がワールドカップに挑みます!(中略)ニッポン、優勝です!」
ではなんの面白みもないし満足感も得られない。
選手ががんばってる姿、苦戦するハラハラ感、それが見たいのだ。

逆に言うと「がんばれてる?」と疑問が生じたときの不満感はかなりモヤモヤっとしたものがある。
それがこの試合だった。

前半開始から明らかに動きが重い日本代表。疲労に違いない。
サイドバックとウィングの松井、大久保で相手を挟み込む形は全く出ず、
中盤もこぼれ球を拾う事ができない。
ディフェンスが成功し高い位置でボールを奪っても押し上げは無く、前線で選手が孤立する。
確かにこれまでの3戦でもそういうシーンは数多く見られたが
「意図的に手を抜くときは抜いている」「チャンスのときは出る」という戦略が見えた。
ただ、昨日は違った。明らかに動けない、足が重い、もう無理。
という選手の悲鳴が聞こえるかのようだった。

それなら、選手を替えればいいじゃないか。
現に途中出場の中村憲剛は非常によい動きをしていた。

私の目から見て、先発落ちするべき選手が4人いた。
松井、大久保、阿部、中沢
ウィングの二人は前線でのキーマンで負担も大きいのがわかりきっている。
そのためこれまでも90分間持つ計算ではやらずに必ず交代があったが
それでもやはり無理はたたっていたと思う。
阿部、中沢については単純にコンディションが悪かった。
足が重く、スピードについていけていなかった。
ディフェンスは足でいくようになってしまったらもう体力の限界。彼ら二人は前半から限界に見えた。

さて、それなら阿部には稲本、中沢には岩政で良い。
問題はそのあとだ。
ウィングのポジションにはこれまでの3試合では
矢野、中村俊輔、岡崎、玉田が入ってきた。
玉田、矢野は岡田監督としては残り少ない時間で使うための選手として考えてただろうし
中村俊輔のコンディションが悪い事はオランダ戦で証明済み。
岡崎も昨日の試合でわかったがなんやかんやで疲労がたまっていた。

出す選手がいない。
それはつまりフォーメーションを再度変更する必要があることを意味する。

本田と森本のツートップ?
トリプルボランチからダブルに戻す?

アイディアはあるだろうがどちらにせよかなりの賭けになる。

ここからは私の予測だが、岡田監督の思考は『ここまで来ていた』と思う。

監督が選手の疲労度に気づかなかった、なんてことはあり得ないし
パラグアイと日本だとさほどの実力差はなく、拮抗した展開になることもわかっていたはず。

おそらく「勝ちにいくなら今だ」と「大けがはしたくない」の葛藤を味わったはずだ。
前者なら、再び批判を受ける覚悟でフォーメーション大刷新、
後者なら、とりあえず現状キープで様子を見る。

岡田監督が試合後のコメントで言っていたことに違和感を覚えた方も少なくないのではないか。
「私の執着心が足りなかった」
彼は、とりあえず今の形で成功しているので現状で様子を見る、という甘い蜜に惑わされたのだ。

そこで蓋をあけたみたら予想以上に動きの悪い選手たち、
予想以上?いや、おれは予想できていたはずだ!ってね。

このような事態は意外と目の前によくある。
フットボールと社会生活を結びつけるのが大好きな私としてはそう言いたい。

得てして英断は言いにくく周りからは「何言ってんだコイツ?」と写る、というやつだ。
例えば「みんなで開発しよう!」と盛り上がっている製品の根本的な欠陥を指摘し
「日程を延ばして再検証するべきです」とは言いにくい。
無理矢理製品を出して、市場で問題が出て、そこで初めて
「なぜ事前に予知して問題を潰すことができなかったのか?」とか言われる。

特に企業の成功体験や努力、ノウハウが詰まっているような分野ではなおさらだ。
・『当初のコンセプトを忘れてしまった売れ線製品』に
全社を上げてがんばろう!というようなテンションになってしまっているとき
・順調に市場縮小が進んでいる分野でシェアを徐々に伸ばしている時

「過去の成功」という甘い蜜。
忘れたくても忘れられない過去の栄光は、
、、、まぁ、忘れられないものである。それは受け入れるべきだ。

したがって我々個人にできることはあまり多くは無い。
・「うーん」と何かひっかかったらそのときは素直にその心に従う事
・経験豊富なおっさんに「絶対間違っている」と言われたら無視する事
※『絶対』という言葉は相手が自信がないときほどよく使うものなのだ
・人生にチャンスはそんなに多くはないので
「現状で」なんて生温い台詞は吐かない方がきっと後悔せずに済む

日本代表は残念だったが、我々は我々のフィールドで残念なことにならないようにがんばりましょう。


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