Mt.Goxの倒産を面白がってここ数日仮想通貨ビットコイン(bitcoin)をいじってみたので
その過程でわかったことを整理する。
<ビットコインの仕組みをざっくりと>
最初にとりあえずビットコインの仕組みを要点だけ簡単に説明しておく。
ビットコインはネット上のみに存在する通貨で、誰も管理者がいないことが特徴。
無国籍無所属であるが故に
政治や市場の状況に左右されない安定した通貨になることが期待されている。
実際の取引は、例えばビットコインを買いたい人間が買取り価格を
『P2Pネットワーク』を通して全世界に発信し、
同じ仕組みで売りたい人間とつながり、そこで取引が成立する。
ここら辺は株取引とほぼ同じ考え方だ。
違いは『東京証券取引所』のような価格や取引量を一括でコントロールする機能が存在せず、
それぞれがそれぞれ勝手に取引をしている総体としてビットコイン市場が存在する、
という点である。
他にはマイニング(発掘)という作業ができ、
ビットコインをある法則に則って掘り出すことができる。
とはいえこのマイニングで出て来る量は市場全体からしたら極めて微量で、
これは『良好な経済は緩やかなインフレの中にある』
という理屈に沿った考え方である。
もう少し細かいことを知りたい人にはこの記事がよいだろう。
http://gigazine.net/news/20131007-what-is-bitcoin/
<たくさんの取引所が存在する>
とはいえ何のツールも無しにビットコインのP2Pネットワークに接続することは困難だ。
そこでそれを代理で行ってくれる取引所が数多く存在する。
Mt.Goxはそのひとつだった、というわけだ。
これら取引所は顧客のビットコインを管理する代わりに各種取引の際に手数料を取り
そこで利益を上げている。
(Mt.Goxはその管理してたビットコインを根こそぎ盗難にあって倒産した)
例えば以下が取引量が多い有名所だろうか。
Bitstamp
https://www.bitstamp.net/
BTC-e
https://btc-e.com/
796 Exchange
https://796.com/
Coinbase
https://coinbase.com/
他にもCoin.MX, Vircurex, CAMPBXなど数多くの取引所が存在する。
それぞれの取引所の特徴は追って話の流れの中で必要に応じて紹介したい。
ちなみにCoinbaseは成り行き注文しか受け付けないちょっと変わった取引所だ。
<実はすでに多くのデジタル通貨が存在する>
また、やってみると驚かされるのが実に多くのデジタル通貨が存在することだ。
Litecoin, Annoncoin, BitBar, DigitalCoin, Devcoin, Extremecoin, Megacoin, NovaCoin …
挙げだしたらキリがない。
とはいえ取引量が少ないマイナー通貨はそれだけ投機的リスクが増大する。
普通に考えると手が出せるのはビットコインかせいぜいLitecoinまでだろう。
実際多くの取引所がビットコインかLitecoinしか扱っていない。
しかしBTC-eとVircurexはかなりマイナー通貨まで網羅しているので
まぁ見てみる分には面白いかもしれない。
<入出金>
入出金の方式だが、これが実は取引所によってまちまちである。
で、ぜひ押さえておきたいポイントが、
多くの取引所では現金での入出金に対応していない。
というちょっと初見ではハテナな、しかし興味深い事実だ。
例えばユーザーが取引所に対して入金する方法はこんな形が考えられるだろう。
・銀行振込
・クレジットカード引き落とし
・デビットカード引き落とし
・小切手送付
ユーザーの立場に立って考えると、まぁこれはわからなくもない。
しかしユーザーが引き出す場合を考えると
・個人の口座へ振り込み
・デビットカードで払い戻し
・小切手送付
これを取引所の立場で考えてみよう。
非常にめんどくさい。
実際大きな問題が多くの取引所の実体口座はヨーロッパだったり香港だったりカリブ海だったり
色々なケースがある。
そしてその場合『振込み』なんて気軽に言うが要するに海外送金だ。
海外送金は手数料も高いし(USからだと$35が一般的)
場合によっては税務申告が必要になったり、
銀行が金額を不信に思い色々と問いただされるようなケースも多い。
そんなことはしたくない。
そこで多くの取引所が取っているのが
デジタル通貨での入出金のみ受け付けています
という何とも面白い仕組みだ。
つまりデジタル通貨のみ取り扱ってリアル通貨は一切取り扱いません、と。
ここで面白いのが例えばそういう『デジタルのみ』の取引所でも
ビットコイン→USドルとかビットコイン→ユーロとかの売買ができたりする。
そうすると一見リアル通貨も取り扱っているように見えるが、
しかしこれらリアル通貨をそのまま引き落とすことができないので
結局のところ『仮想通貨(数字上の通貨)』のみしかそのサイトには存在しないことになる。
他には例えば入出金をUSドルでできるが、
PayPal(およびその他マネー転送サービス)から受け付けます
とか、結局は自分はリアルマネーの決裁には一切関わらないように徹底している。
しかし多くの取引所が申し合わせたかのように一様に
「準備中だけど今はまだ使えません」みたいな体裁を装っているのがちょっとウケた。
なぜそういう態度を取るか。
それはこの『デジタルのみ』問題は用途次第ではどうでも良いことだが、
利用者の目的によっては大きな障害となりかねないからだ。
<手数料とマネーロンダリングと取引所価格差>
さて、『目的』と言ったが現時点でデジタル通貨に手を出すメリットというと何だろうか?
ビットコイン自体の普及状況を見てみると正直まだまだ話題先行で実状が伴っていない。
ビットコインATMは世界でも数カ所にしかないし、
ビットコインで支払いできる店舗もなぜかカナダのバンクーバーにはたくさんあるらしいが、
少なくとも自分の生活圏内ではまったく見かけない。
ネットで支払いをするときはクレジットカードで良いし、、、
まぁ要するにビットコインの出番なんてとりあえず今の私にとっては何もないのだ。
つまりデジタル通貨を使うために購入するわけではない。
そうすると目的は、投機かマネーロンダリング(笑)しか考えられない。
※よい子はマネーロンダリングなんてしちゃだめだよ☆
投機は単純にビットコインを安く買って高く売って儲けようという試みだ。
「金に投資していた資金が一時期ビットコインに流れた」
と言う専門家もいる。
一時の激しい山坂はあるが長期的に見るとビットコインはほぼ上がり続けている。
確かに投機の対象としては一考の余地はあるのかもしれない。
なお大抵の取引所で売買手数料は0.5%で、
結構価格が落ち着かない(激しく上下する)ので
確かにビットコインの売買で短期的に小額の利益を得ることは可能なようだ。
しかし大した資金を持っていない人間からすると
投機なんかするより真面目に働いて給料上げてもらった方が効率が良い。
なので多くのひとにとって興味があるのは口座間の移動に伴う云々ではないだろうか?
と勝手に想像(提案?)する。
まず単純なモデルを考えよう。
以下を満たす取引所を2つ見つける。仮にA取引所とB取引所としよう。
・ビットコインとリアルマネーの売買が可能
・リアルマネーの入出金が可能
A取引所から現金を入れて、ビットコインに変えB取引所に転送、
B取引所でリアルマネーに変えて、現金として引き落とす。
さて、このときどのようなことが起こるか?
A取引所で入金手数料が取られ、売買手数料が取られ、転送手数料が取られる。
B取引所で売買手数料が取られ、出金手数料が取られる。
ここで断らなければならない重要なポイントがある。
取引所ごとに売買金額は異なるのだ。
当然といえば当然だ。
ビットコインの価格は数ある取引の総体として成り立つが
それはネットワーク上では暗号化されていて売買対象者にしかわからない。
しかしそれを管理している取引所は把握することができるため
「現在の価格はいくらです」
と出すことができる。
そうするとその取引所を利用している人間はどうしてもその価格の周辺で売買をしようとする。
当然様々な要因で上下は発生するが『他の取引所での取引価格』というのは
その上下を発生させるファクターにはどうにも含まれてこない。
つまりそれぞれがほぼ独立なわけだ。
さて、価格差が存在するということは、、、
場合によっては既出の手数料の総和を上回る差益が発生することがあるのだ。
<右から左へ移動させるだけの簡単なお仕事です>
実際に私が見ている限りでも
「あー、これ〇〇取引所から〇〇取引所に移動させて、、あ、〇〇ドル以上やれば儲かるわ」
という瞬間は存在した。
例えばこれにはCAMPBXというサイトが有効だった。
ほとんどのサイトで出金手数料は1%〜7%とか『引出額』に応じた金額になっている。
しかしCAMPBXでは『小切手』の対応があり、それは一律20ドルなのだ。
普通に、入金手数料が1%取られて売買手数料と転送手数料が合わせて1.5%でそれに、、と
積み上げていくと大抵利益は出ない。そんなにみんなバカじゃない。
でも唯一の抜け穴がこの『手数料一律20ドル』だった。
一日の取引量の上限がある取引所がほとんどだがそのMAXギリギリくらいまで
ビットコインに突っ込んで、だーっと移動させてCAMPBXでドルに変換、
そして溜まったところで小切手で現金化、とすれば簡単に儲けることができる。
と、クチで言うのは簡単なのだが私の心臓はそれには耐えられない。
なぜならビットコインに始まるデジタル仮想通貨はいずれも元金保証が無いからだ。
あるとき証券会社に勤める友人に言われたことがある。
「金持ちは銀行じゃなくて証券会社に預けるべき、証券会社は元金保証があるからね。
銀行みたくペイオフ(最大1000万円)なんてヌルいことは言ってられないんだよ」
そう。相場変動というリスクを呑む上に元金保証が無いというリスクなんて併せて呑めない。
さすがにお腹いっぱいだ。
すぐ買ってすぐ売る、と言ったって場合によっては入出金に時間がかかったり
取引自体に時間がかかったり(取引相手が見つからなくて)色々なケースが考え得る。
その間中、元金保証のないデジタル通貨がネット上をふわふわし続けるのだ。心臓に悪い。
そして究極のケースがMt.Goxだったわけだ。もう金は返ってこない。
まぁ心臓の強い果敢なひとはやってみると良い。
『確実に儲かるルートとその瞬間』がどこかに存在することだけは確かだ。
<海外送金の代替としてのビットコイン>
ビットコインの概要を知って立場上真っ先に思いついたのは
アメリカ→日本への海外送金の代替としてビットコインが使えないか?
というアイディアだった。
これって海外居住者にはなんやかんや避けては通れない話だ。
日本に滞在した時のもろもろの支払い、場合によってはローン、
アメリカのクレジットカードが使えないようなシチュエーション、etc.
両替時の差損というものは非常に大きい。
金融関係者は消費者を舐めてるとしか思えない。
普通通貨取引の(彼らにとっては)差益はリスク要素を踏まえたものであるべきだ。
簡単にいうとある日突然ドルに対して円がバカ上がりしたときに、
その日の固定レートでドルを円に替えてしまった銀行は大きく損をするからだ。
しかし、USドルと円の間にどれだけのリスクを踏まえる必要があるのか問いたい。
かなりの暴利をむさぼっている。間違いなく。
しかし銀行や割高なそこら辺の両替所でしか海外通貨の交換などできない。
だから仕方なくそのときより良いレートの金融機関で両替しているわけだが、
いつか代替手段が出てきて彼らにほえ面かかせてくれないものかと密かに待ち望んでいるのだ。
さて、結論から言うと私のこのアイディアはまさにMt.Goxの倒産とともに沈んだ。
Mt.Goxが唯一の日本円での入出金を行っている取引所だった(っぽい)のだ。
USドル、ユーロ、中国円の間で両替をしたいひとにとっては
ひょっとしたらまだまだチャンスは残っているかもしれない。
しかし私には関係ない話なのでモチベーションはここまで。チーン。
<ビットコインの利用価値>
したがって投機で汗水たらして僅かな利益を得るということ以外は
個人的にはあまりビットコインに興味はなくなった。
(汗水たらしてディスプレイにへばりついてがんばれば
多分こりゃ儲かるなぁ〜とイメージしたがそんなヒマはない)
「とりあえずちょっとした金をビットコインに替えといて寝かせてみたら?」
という考えを持つ人もいるだろうがご自由に。
私個人的にはその『寝かす』行為のマイナスのリスク、価格下落と先ほどの元金無保証。
それと価格高騰における利益見込みがどーにも釣り合わない。
当然状況が変わることには期待したいので継続的に横目でウォッチするだろうが、
現在の状況を鑑みるとビットコイン業界は少なくともしばらくの間は
静かな緩やかな発展に終始せざるを得ないように思える。

