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形骸化しているFIFAランキングの問題点について

多くのフットボールフリークは理解していることと思うが、
FIFAランキングというものの精度は本当に低い。ハッキリ言って機能していない。

FIFAランキングとは何ぞや?という不届きものは以下のwikipediaさんに聞いてみると良い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/FIFA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0



<最新のFIFAランクから見る小学生でもわかる矛盾>

例えば現在の最新のランキングを引っ張ってきてみよう。

http://www.fifa.com/worldranking/rankingtable/

Screen Shot 2014-03-05 at 11.45.04 PM

トップ近辺は納得感がある。

1位スペイン、2位ドイツ。

しかし3位アルゼンチン?4位ポルトガル?5位コロンビア??6位スイス???

ちょっと知ったかぶりをするなら「最近のスイスは若手の成長が、、」とか言うんだろうけど
でも、6位だぜ???
W杯でベスト8に残るレベルってことでしょ?その確信ある???

さて、他にもおかしな点を挙げればキリが無い。

例えばブラジル9位、ギリシャ12位、
久しぶりのW杯出場のチリごときが14位、ようやく初出場を果たしたボスニアが17位。

ちなみに日本のランクは50位。
W杯出場したこともない国や近年目立った戦績のない以下の国よりも順位は下だ。
カーボベルデ27位、アルメニア30位、パナマ32位、ベネズエラ35位、
ルーマニア33位、スコットランド34位、トルコ42位、アイスランド48位

順位で日本の周辺にいる国と言えばW杯なんて箸にも棒にもというレベルの国ばかりだ。

何故こんな現実と乖離した結果になってしまうのか?

それは『ランキングポイント』の計算の仕方を理解すれば紐解くことができる。

ちなみにFIFAランキングは到底信頼できたものではないが、
例えばW杯におけるシード国を決める際などに用いられている。
強い国同士でいきなり当たるのを避けるためだ。

つまり、形骸化はしているが、決して軽視して良いものなんかではないのだ。

<根本原因『大陸間ポイント』>

ツラツラ書いているうちに腹が立って仕方がないので率直に結論を書いておく。

『大陸間ポイント』というものがクソなのだ。

ざっくりでいうとランキングポイントは直近の試合で獲得したポイントの平均値で成り立っていて、
それは過去四年に遡って

(今年の平均)x1 +(去年の平均)x0.5 +(2年前の平均)x0.3 +(3年前の平均)x0.2

という感じで重み付けをしている。

今年スゴく調子よかっただけのチームがいきなりトップになることはないが、
過去強かっただけのチームがランク上位にのさばらないようにしてある、と
これはとても納得感がある。問題無し。

さて、それではその個別の試合でのポイントの付け方は、というと

(ランキングで決まる数字)x(勝敗)x(試合の重要性)x(大陸間ポイント)

最初の項は要するにどのくらい上位の敵と戦ったかで、自分のランクとは無関係だ。
まぁ少々疑問はあるがヨシとしよう。

次の項は単に勝ち点。勝ちなら3、引き分けなら1、負けなら0だ。これはヨシ。

その次の項は試合の重要性。親善試合を1として、W杯予選は2.5、W杯は4、といった調子だ。
重み付けが適確かどうかの疑念はあるだろう。
なぜなら例えば親善試合とW杯予選で比較すると、
日本が親善試合でブラジルに勝つのと、
オランダがマルタ諸島(ランキング133位)にW杯予選で勝利するのとがだいたい同じ価値だ。

、、、同じ価値なわけがないだろ!!

とツッコミたくなるがまぁこれは2.5という数字が不適切なだけで
重み付けそのものは仕方のないことだろう。

しかしこれの重み付けには2つの問題がある。

ひとつは例えば今回のブラジルのように「W杯予選が無かった国」は
親善試合ばかりなので一時的に順位が下がってしまうことだ。
先ほど示したように親善試合ばかりでは順位を上げるのは非常に難しい。

またもうひとつの問題は前者の裏返しだが、
W杯予選の試合数が多い大陸は比較的順位が上げ易いことだ。
ちなみにアフリカは1次予選から最終予選(4次予選)まであるので
1次からがんばって勝ち上がったチームはかなりのポイントをゲットできる。
(カーボベルデが良い例)
前評判が高いチームは大抵3次予選からなのでそうするとアジアと大差はない。
ちなみに南米は9チームの総当たりなので、これもまたポイントは稼ぎ易くなっている。

しかし、こんなものはマイナーな問題であって悪の温床はここではない。
なぜならこれは大陸連盟次第でどうにでもできるからだ。
予選をどういうふうに組むか、試合日程をどうするか、そんなものは連盟に委ねられている。
つまり確かにこれはちょっとした不公平の元になりそうなものだが
『根源的かつ作為的な不公平』と言うほどの問題ではない。

先ほども述べたが最大の問題はやはり最後の項、
『大陸間ポイント』なのだ。

これはヨーロッパや南米を1としてアフリカを0.88、アジア北中米を0.86、オセアニアを0.85として、
例えばヨーロッパのチームvsアフリカのチームなら

(1 + 0.88)÷2

をかける。

これは読み砕くと

アジアのチーム同士でやった試合の結果よりも、
ヨーロッパのチーム同士でやった試合の結果の方が重視される

という言い方ができると思う。

これは思いっきりハテナだ。

なぜヨーロッパと南米以外の地域は軽視されなければならないのか?

地域ごとのレベルが違うから?
そんなものは最初の項、『ランキングで決まる数字』でカバーされるべきものだ。
時代が変われば南米よりもアフリカの方が強くなっているかもしれない。
しかしこの『大陸間ポイント』がその下克上を簡単なものではなくしている。

例えば突如ヨーロッパのウェールズとアジアのマレーシアが強くなったとする。(国はテキトー)
そしてそれぞれがスペイン(ランク1位)と親善試合をし、

ウェールズは2-1で、マレーシアはなんと5-0で下したとする。

そんな事態が起きたとしても、、、

先ほどの『大陸間ポイント』の作用によって、
ウェールズの方がマレーシアよりも順位は上になるのだ。

この邪悪な大陸間ポイントがヨーロッパや南米を守っていることがハッキリとわかる。


<大陸間ポイントシミュレーション>

ここで、仮想的なひとつの世界を考えてみよう。

・チーム数は全部で20チーム(Team0〜Team19)
・ふたつの大陸が存在しA大陸にTeam0〜9、B大陸にTeam10〜19が所属している
A大陸の大陸間ポイントは1、B大陸は0.86とする
・4年に一回のW杯(チーム数が少ないので全員参加)、その前に大陸間予選を行う(一応)
・残りの年は親善試合をランダムな組み合わせで行う
・ランキングの計算等は現実と全く同じ計算式を用いる
・すべてのチームの実力は拮抗していて勝ち負けは完全に時の運
・30年経過したところでランキングをチェック

という試行を100回繰り返してみる。

結果は以下のとおりだ。

————————-

Team0 win: 15016 draw: 15024 lose: 14960
Team1 win: 14939 draw: 14974 lose: 15087
Team2 win: 15099 draw: 14900 lose: 15001
Team3 win: 15062 draw: 14879 lose: 15059
Team4 win: 15345 draw: 14658 lose: 14997
Team5 win: 15004 draw: 14788 lose: 15208
Team6 win: 15325 draw: 14661 lose: 15014
Team7 win: 14927 draw: 14824 lose: 15249
Team8 win: 15095 draw: 14634 lose: 15271
Team9 win: 15137 draw: 14938 lose: 14925
Team10 win: 15107 draw: 14913 lose: 14980
Team11 win: 14924 draw: 14897 lose: 15179
Team12 win: 15185 draw: 14813 lose: 15002
Team13 win: 15221 draw: 14729 lose: 15050
Team14 win: 14969 draw: 15066 lose: 14965
Team15 win: 14951 draw: 14917 lose: 15132
Team16 win: 15078 draw: 14824 lose: 15098
Team17 win: 15049 draw: 14799 lose: 15152
Team18 win: 15046 draw: 15090 lose: 14864
Team19 win: 14900 draw: 14914 lose: 15186

A CONTINENT -> A rank : 737 (73 percent)
A CONTINENT -> B rank : 263 (26 percent)
(B CONTINENT -> A rank : 263)
(B CONTINENT -> B rank : 737)

——————————–

前半部分の勝敗の羅列は100回の試行の合計。
ある程度の勝敗のバラツキがあれどもだいたいほとんど同じような勝率になっているという証明だ。

後半は、それぞれの大陸に所属したチームが最終的なランキングで
Aランク(上位半分)Bランク(下位半分)のどちらに属していたか、それの合計だ。
重ねて言うが、前半部が証明するように勝率はみなどっこいどっこいである。
しかし結果は
A大陸所属チームの実に73%が最終ランキングでAランク=上位に位置していた。

別の言い方をすれば、最初からB大陸に割り当てられたチームには
僅か26%しか上位にいくチャンスはないのだ。

例えチームの力が全く同じだとしても。

この同じ試行を例えば大陸間ポイントを変えて行うと、
B大陸のポイントが0.95の場合は、上位にいける率42%、
0.90だと32%、0.80だとするとなんと17%になってしまう。

同じ実力を持ったチームが、勝敗もほぼ五分五分にも関わらず、
所属している大陸だけを理由に順位の上下が付いてしまう。

アジアに産まれたことを呪えというのか?

なかなか悪どいことをやってくれるもんだ。

ちなみにこのシミュレーションプログラム(python)は以下に置いておく。
みなで実行して怒りを噛み締めてもらいたい。

githubのリンク

<解決策>

言うまでもないが、これは『是正』なんていう生ヌルいもんじゃなく、
『大陸間ポイント』を廃止するべきだ。

W杯は世界有数のイベントであり、その分動く金も大きい。
金の集まるところに権力有り。

FIFAを健全な組織にすることなんて正直どうでもいいんだけど
フットボールは子どもたちに夢を与えるべきものだ。

「日本ってさぁ、この前のW杯でベスト16なのになんでFIFAランキングは16位以内じゃないの?」
「W杯で日本に負けたギリシャはなんであんなにランキングが上なの?弱かったじゃん?」

子どもたちになんと説明すれば良いんだ?

「そこはねぇ、政治的な事情があってねぇ、FIFAランキングは、、不正にできてるんだよ」

我々はこう苦虫を噛み下すように言わざるを得ない。

本田圭祐の小学校の文集がイタリアのテレビ番組でも取り扱われたと言う。
純粋無垢なサッカー少年の夢を15年の月日を経て有言実行に変えたと。

フットボールの世界を動かすのは、そういう子どもたちの純粋な夢を追うチカラ、そしてその延長線上にある努力と研鑽のぶつかり合いによって産み出されるドラマであって、
そこに薄汚れた大人たちの政治的な思惑が入り込む余地などどこにも無い。