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サッカー選手の契約期間と移籍金について
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「長友が2017年までインテルと契約したって」

という私の発言をきっかけに妻にサッカー選手の契約期間と移籍金に関する説明をした。

良い機会なのでまとめてみる。

まず、

サッカー選手の給料

「年俸」+「出来高」

の形が普通だ。

元々の年俸があって、そこにさらに「勝利給」とか「出場給」とか「順位/タイトルによるボーナス」が付加されるわけだ

細かい契約内容というのは明らかにされることはないけれど
いずれのリーグ、選手においても恐らくそんな形だろうと推察されている

で、

契約年数

はそのお約束期間が「単年契約」だったり「複数年契約」だったりするのだ。

これらはその文字の表す通り「何年契約するか」を意味する。

契約期間は基本的に
「双方の合意に基づくケース以外での移籍や契約解除はしない」
ということだ。
これは普通に世の中で言う「契約」の一般的な形と何も変わらない。

賃貸契約、携帯の回線契約、まぁおおむね同じだ。

そうすると上記は単に1年かそれ以外かで分類しただけだが、言葉以上にその意味合いは深い

なぜなら選手が移籍する際には大抵

『移籍金』

が発生する。
そしてそれは『残りの契約期間』によって妥当な額が算出されるからだ。

なお移籍金というのは別の言い方をすれば「違約金」であって
そう言われると皆も実生活の中で多少馴染みがあると思う。

携帯回線の契約や何かしらの有料会員など
「途中解約の際には違約金が発生します」
というパターンは多い。

それと同じだ。

で、その違約金を『その選手を引き抜くチーム』が支払う図式なのだ。

したがって移籍金というのはクラブ間で支払われるお金であって選手には関係がない。
しかし移籍金の大きさはその選手の価値とも等しいので、選手にとっては高額移籍金は名誉なことなのだ。

さて、契約年数に関してちょっと

年代をわけて

整理してみよう。

まず20以下の若い選手を想定してみよう。
普通若い選手の場合は2年契約が多い。それは大抵以下の理由だ。

①クラブ側としてはその選手がモノになるかどうかまだ確信がない
②でも仮に今年ブレイクしてシーズン後に移籍するとしたらそれはそれで移籍金をしっかり取りたい
③選手としてもそのクラブが自分に合うかどうか(出場機会がもらえるかどうか)分からない

ちょっと細かいことは説明せずに次にいこう。

中堅の選手は複数年契約のケースが多い。それは大抵以下の理由だ。

④計算できる存在としてクラブ側としては長年がんばって欲しい
⑤選手としてもそろそろ身を落ち着けたい

そして引退も近づいたベテラン選手の場合、
当然人にもよるのだが一般には単年のケースが多いと思う。
なぜなら、

⑥来年、再来年と今と同じレベルでプレーできるかわからない

からだ。

さて、上記はあくまでその年齢層での多数派にどういう傾向があるか、という話で
理解し易くするためにこういう説明をしただけだ。例外は腐るほどある。

例えば若者の場合、クラブと選手間での綱引きが発生することがままある。
なぜなら裏にはお互いとってこのような葛藤があるからだ。

(クラブ)
正直若者は不確定要素が多いから余りお金を払いたくないが
契約期間を短くし過ぎると移籍金が取れなくなる

(選手)
すぐもっと良いクラブへの移籍を狙うなら契約年数は短い方が良い
でもこのクラブで十分だとしたら契約年数は長い方が良い

逆に中堅の場合では④のようなホントは長年がんばって欲しいんだけど、
そういかずに(まぁトラブルなんざ色々あるさ)最悪移籍する場合も
「がっぽり移籍金を取りたい」というクラブ側の意図があって
複数年契約をすることで選手を囲い込み、移籍金を釣り上げ易くしてある。

中堅はお互いの意図が合致して契約交渉もすんなりいくことが多いだろう。

また逆にベテランの場合は
「今シーズン左サイドバックの選手層が薄いから」とか
「ターンオーバーを引くためには中盤の人数が足りない」とか
スポット的な事情で獲得したりまたその逆で出て行くことも少なくない。

そのような場合は来期は不要になる可能性も高い。

ということで単年は多い。

使い捨てのようで若干ツラいが
そこはベテランはベテラン。百戦錬磨だ。
図太く生き抜いていくに違いない。

ベテランについては、ほぼおしなべて、
選手は複数年を望み、クラブはそれを如何に少ない年数に抑えるか交渉する
こういう展開になっているのだろう。

さて、

長友

の話に戻ると、
単純に考えていくつかのことを確信的に言えると思う。

・インテルは長友を重要な主力として捉えている(だって5年契約だもんね)

・この歳(26)で5年契約ということは生涯インテルの可能性が高い
 なぜなら移籍金はかなり高額になることが予想される。事実上の「お断り価格」

・長友も上記を了承した上でインテルと契約をした

ということだ。

欧州でそこまでの恵まれた待遇を手にした日本人はいただろうか?

単純に日本人選手として
「クラブに非常に愛された選手」
を挙げるならば中村俊輔だろう。

彼が活躍したセルティックは「中村にはセルティックで引退して欲しい」
と言うほど中村俊輔を英雄視している。

それはそうだ。

あのチャンピオンズリーグでのマンチェスターユナイテッド戦、
名手ファンデルサールから2度得点を奪ったフリーキックは今でも覚えている。
セルティックファンなら一生の語りぐさだろう。

しかしそんな中村俊輔もセルティックと大型年契約は結んでいない。
なぜなら中村俊輔にとってはセルティックはゴールではなかったからだ。

彼はスペインリーグへの移籍を希望していたし現実にその後セスパニョールへと移籍した。

つまり双方ともWin-Winで望むべく環境に収まる

なんていう理想像を欧州で実現した日本人サッカー選手は皆無だったのだ。

今回、長友がその第一号となったと言える。

さて、

何事にも例外あり

とは言ったもので

最後に契約年数に関する名誉ある例外たちの話をしよう。

容易に想像が付くと思うが
「将来をめちゃくちゃ期待された新人」
というのはどんなに若かろうと複数年契約になることがある。

例えば、
マンチェスターユナイテッドのウェイン・ルーニー
2004年に18歳でエバートンからマンUに移籍したがその時の移籍金が約50億円、契約期間は6年だった。

クリスティアーノ・ロナウドも18歳でスポルティング・リスボンからマンUに移籍する際に移籍金が25億円で5年契約をしている。

彼らは「確実な金の卵」だと18歳の時点で捉えられていたわけだ。

素晴らしい。

またベテランの例外では
ACミランの名選手パオロ・マルディーニが挙げられると思う。

生涯ACミランを通した彼は2003年当時既に35歳という大ベテランの立場であるだけでなく
膝の怪我でシーズンをほとんど棒に振った。
それにも関わらずミランが提案したのは2年間の契約更新だった。
それ以降は単年契約となったが、それもクラブとしては複数年での慰留を望んでいたが
パオロ自身が膝の怪我や体力の衰えから引退を考えていたからだと言われる。

また最新のニュースではバルセロナプジョル(34歳)がなんと
2016年までの4年契約を結んだという。

プジョルは個人的には大好きな選手で、それはプレーだけではない。

よく覚えているシーンがある。

昔、元ポルトガル代表の名選手ルイス・フィーゴバルサからレアルへの『禁断の移籍』を断行したことがあった。

これにはバルセロナのサポーターは憤慨し、その直後にカンプノウ(バルセロナのホーム)で行われたクラシコ(バルサvsレアル)で、コーナーキックを蹴ろうとするフィーゴに対してバルセロナのサポーターは毎度激しくブーイングをし、物を投げ込む輩も少なくなかった。

試合は中断。

それをやめさせようとプジョルが誰よりも先に観客席へと立ち向かったのを強く覚えている。

「おれがこいつを止めるから」「レアルはおれたちが倒すから」と。

熱い男だ。

どちらかというとこういうベテランがチームに大切にされている話の方がおっさん的にはジーンとくる。

さて、一方、良い選手なのにも関わらず移籍金がほとんど発生せずに移籍したケースというのも稀にいる。
その理由はここで話題にしている契約期間だ。

ここ数年では典型的な良い例(悪い例?)がある。
現マンチェスターユナイテッドの香川真司
セレッソ大阪からドイツのボルシア・ドルトムントへ移籍した際の話だ。

当時香川は確かに欧州では実績はないが代表に呼ばれたりJ2で得点王になるなど日本期待の若手だった。
しかしそれが移籍金はなんとたった4000万円。
# 例えば長友がチェゼーナへ行く際は約2億だったし
# そもそもその香川自身が2年後にマンチェスターユナイテッドに移籍する際の移籍金は16億と言われてる
実はこれは当時セレッソ大阪との契約期間がもうほとんど残っていなかったためで(確か数日)
本当は移籍金を払う必要がないところ「育成費」としてドルトムントから支払いがあった。
なので「手切れ金」「ご祝儀」程度の金額だったわけだ。

しかぁしその後の香川の活躍は言うまでもないことで、ドルトムントにとっては破格のお買い得商品だったと言える。

日本人選手の移籍金無しでの移籍については問題視されているが、またそれは別の機会に。

欧州でがんばる日本人選手たち。
我々も負けてはいられない。