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とある宇宙女子との会話「質量」


とある宇宙女子との会話。

ちなみに彼女は宇宙とか物理に興味があるだけでまったくもって文系女子

そして私は理系だけど量子物理学宇宙工学やなんかとは全く無縁の電気系エンジニア

なお、プライバシーのため彼女の返信は全て話の展開がわかる程度に改編してあります。

(宇宙女子)———————————

この記事読んでなんかすごそうなんだけど意味がさっぱりわかりません。

理研ら、反物質である反水素原子の1000秒以上の閉じ込めに成功
http://journal.mycom.co.jp/news/2011/06/07/001/

反物質って何ですか?あとセルンって?

(私)———————————-
どもども。
セルンってのは研究所の名前だね。

さて、

反物質

というのは簡単に言うと「うちらが認識している物質とは全く逆の構成をしている物質」のこと。
『逆の構成』っていうのは目に見えるようなものじゃなくて量子レベルでの性質が逆って意味ね。

むかーし物理の授業とかで
陽子は+の電荷
電子はーの電荷
とか習ったと思うんだけどそれが逆。

反陽子はーの電荷
反電子は+の電荷

という性質を持つってこと。

『反物質』ってのは大くくりの言い方で『反水素』とか『反イオン』とか『反中性子』とか何でも『反◯◯』が存在する。
じゃあなんで捕まえたくらいで話題になるかっていうと『反物質がうちらが住む宇宙にはほとんど存在しないから』なのね。
なんでほとんど存在しないかはまだまだ今の科学ではよくわかっていなくて、宇宙が誕生した時には反物質も普通の物質も同じように存在していたんじゃないかと言われてる。
でも『わずかに』反物質の方が寿命が短くて、ながーーーーーーい年月の間にほぼ絶滅状態になっちゃったんじゃないか、って考えてる人たちが主流かな。

そもそも反物質と物質はなかなか相容れない性質を持っていて、触れ合うとお互いに消滅しちゃう。これを対消滅っていう。
つまりどっちかしか生き残れないことは元々宿命づけられてきたのかもね。

さて、

セルン

なんだけど、加速器を使ってベラボウな超高速で物質を動かしてそれ何かに衝突させるとそのショックでいろんな物質が発生するってのは昔から知られていて、つくばとかでも巨大な加速器を作ってたりする。セルンもそのひとつなんだろうね。
で、衝突のショックで発生する物質について調べるってのがここ数十年の『量子物理学』だったんだけど、どうやらその中にわずかだけど反物質が混ざってることもわかってきた。
さっき書いたように反物質はすぐに物質と触れ合って消滅しちゃう。この世の中に反物質はわずかだけど、物質はたっぷりある。つまり反物質だけすぐに消えてなくなったように見えるわけだ。
今回はそれをうまくやって反物質だけ閉じ込めたってことなんだけどそれには『磁気瓶』ってのを使ったみたいだね。
磁気と電荷は密接に関係していて、感覚的に言うと磁気をコントロールすることで
・+の電荷にとって居心地が良い磁場
・ーの電荷にとって居心地が良い磁場
とかが作れる。

さて、ある衝突のあとに
・反陽子(ー)
・陽子(+)
しか存在しない状態を作り上げたとする。
その時に磁気瓶をうまーくコントロールして『(ー)のみにとって居心地がいい状態』にしたら、陽子はぷいっといなくなって反陽子だけが残る。今回はそんなふうにしたみたいだね。
このコントロールってのもなかなか難しいものだろうから数10分で大健闘なんだろうな。そこらへんはよくわかんないけど。

とまぁこんな感じです。

ちなみに『反物質兵器』なんていう発想も『対消滅』から来てる。
対消滅の際にはものスゴいエネルギーが発生することがわかっていて、それなら反物質を箱に閉じ込めてミサイルに仕込めば核爆弾なんてメじゃない破壊力になるって発想だ。

(宇宙女子)————————————
ほ~。それって「天使と悪魔」と同じですね。

そもそも物質と言うのはこの世にあるもの全て物質になるわけですか?
反物質は目には見えるほどのものですか?
反物質はエネルギーになるとか?反物質兵器もそういうのですか?

(私)————————————
最初に
『反物質というのは簡単に言うと「うちらが認識している物質とは全く逆の構成をしている物質」のこと。』
と書いたけど、つまり物質は「うちらがこれまで認識してきたもの」だということだな。
元素記号とか周期表とかあれに載ってるやつね。

『物質』+『反物質』=『この世にある全ての物質』

反物質は見えるか?

って話だけど、例えば鉄は見えるよね。
あれは鉄(Fe)原子をギューッとたくさん集めた塊なわけだ。
一個一個の原子はなかなか見えないけどたくさん集めれば見えるし触れる。

さて、鉄原子があれば反鉄原子もあるはず。

もし反鉄原子を一杯集めたとすれば『反鉄』がきっとできるはず。そしたらきっと見えるだろうね。
でもこの反鉄は質量がマイナスなんだ。あら不思議。

反物質がエネルギーになるってのは全然正確じゃないな。
さっき
『対消滅の際にはものスゴいエネルギーが発生する』
と書いたよね。
反物質と物質が触れ合うと対消滅が起こる。まるでお互いを相容れぬものとして駆逐するかのようにね。
もし仮に反物質しか存在しない世界があったとしたら、物質と触れ合うことがないから対消滅は発生しない。なので爆発したり超高温になったりってのも起こらないね。

(宇宙女子)———————————————
いろいろわかりました!説明わかりやすいです。
でもわからないことが、

質量がマイナス

ってどういうことですかー!?

(私)——————————————–

質量ってそもそもなんですか?って話だね。

(宇宙女子)——————————————–
なるほどそもそも質量が何なのかがわからない。。。重量とは違うんですよね?

(私)——————————————–

いや、概念としては別に一緒で良いよ。

重要なのは重力は『物体同士が引き合う力』だってこと。

普段認識する質量ってのは下↓に引っ張られる力のことだよね。でもその本質は『引き合う力
地球上でうちらが暮らしてるのは、うちらと地球が引っぱり合ってるんだけどあまりに地球の方が質量が大き過ぎるから単にうちらが地球の上にくっついてるように見えるだけ。
この引き合う力は距離が離れると弱くなるから宇宙に行くとほぼ無重力になる。でもそんな無重力の状態でもスペースシャトルと人は引き合ってる。お互いの質量がそんなに大きくないからまるで無重力のように見えるけどね。
さて、ここまで言えばわかるように質量がマイナスってのは、反物質は『それぞれが斥け合う力』を質量として持ってるってこと。ここも普通の物質とは逆なわけだ。

(宇宙女子)————————————-
そっかー!なるほど、Qzさんて理科の先生みたいですね(笑)