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じらしたお詫びはこのバスジャックで/大橋慶三(ネタバレあり)
Categories: オハナシ

前回日本に帰った際に久しぶりに単行本を買った。
最近KindleiPadで読んでばかりでいかん。

しかし本屋に行って物色してみたものも
実のところ最近、貴志祐介くらいしか楽しませてくれる作家がいないのだ。

うーん、それならせっかくだから何かチャレンジングな試みがいいなぁと思い

「まったく知らない新人の本を買ってみることにした。

賞を取った新人のデビュー作というのがなんとも良いではないか。

以下随時ネタバレしながらどんな作品かツラツラと書きたい。


まず、とりあえずイントロから『明日』に含みのある展開。

女子高生のしゃべりは微妙だが、まぁ作者は私と同世代だというし仕方なかろう。

全体に口語的で読み易いが、たまに会話の流れがわからなくなるときがある(表現が薄くなりがち)

暗い、暗い、陰気な設定が良い。
作者も随分苦労したようだが、そういうのが出るのかなぁと思う。

『明日』何が起こるのか、、緊張感と期待感を持って読み進めることができる。

しかし、

そんな重いカンジのイントロから
いざ唐突ながらバスジャックが始まるとその後の展開はかなりコメディ。

第一のバスジャックに加えて第二のバスジャックという発想はナイスだったが、

影のある女性二人のシリアスな対立と
バスジャック継続可否の投票というシリアスにはほど遠い展開の対比

ノスタルジックな主張を展開するバカバカしい母
それに意志も弱々しく従ってしまう主人公

そして続けて起こるのは運転手の自殺予告
それも目的は妻の気を引くため、というこれもまた情けない話

初代バスジャック犯とバカにされ続けたオタクなどが
後ろに集まってひそひそ相談事をしているうちに雑談になってしまう状況とか

もうどうにもならないグダグダ感

これは断じてミステリーでもなんでもない。

そこには切れ者もいないし、強い意志を持ったヒーローもいないし、
逆にどうしようもなく悪に染まってしまった犯罪者もいない。
生き死にも無いし流血ですら無い、なんとも無様なから騒ぎ。

予想の斜め上をいく展開がドタバタで続いた末に
ようやく見えるテーマは「家族の再生」

うまいカンジに〆めたか。。。

と思うと無駄な後日談がひどい。

キャラを大事にしてるんだか大事にしてないんだか
みんなほとんどロクなことにならずに終了。(そんな悪い人たちばっかじゃないのに)

半笑いでハナクソほじりながら書いたようなものを最後にわざわざ付けるあたりもまぁ笑える。


結論的には『ソコソコ読める作品』だった。

それは作者独自の色調のようなものがにじみ出ていたからだ。

しかし残念ながらこの色、一度か二度見たら飽きる。

次の作品でどういう方向性に振ってくるか、それを楽しみにしたい。


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